農林水産省は、耐候性ハウスの設置コスト低減に資する技術について、業界内外から新たなアイデアを募集し、今後の開発・実証に向けた「農業用温室の設置コスト軽減に向けた技術提案回」を1月19日に東京都千代田区の中央合同庁舎4号館9階農林水産政策研究所セミナー室で開催する。
昨年11月にとりまとめられた「農業競争力強化プログラム」では、民間活力を最大限に活用しつつ、生産資材価格の引き下げのための施策の具体化に努めることが示された。農業用温室については、価格引き下げに向けた取り組みの一つとして、補助事業の対象となる耐候性ハウスの補助要件の見直しに向け、ハウスの構造や工法等を見直した新たな耐候性ハウスの開発・実証を推進していくとしている。
耐候性ハウスは、園芸作物の栽培を目的として、骨格に鋼材や金属パイプ等、被覆資材にプラスチックフィルムを使用し、基礎を有して構造計算が可能なハウス。今回開催される技術提案会は、この耐候性ハウスの設置コスト低減に資する技術について、業界内外から新たなアイデアを募集し、今後の開発・実証に向けて提案してもらうことを目的としている。提案資料については、会場の傍聴者に配布されるほか、提案会終了後に農林水産省のホームページに掲載される。
提案会の対象となる技術
今回の技術提案会では、適切な環境制御を行うことができるハウスについて、ハウス本体、内部設備を合わせた10aあたりの導入コストを2300万円以下(現行の強い農業づくり交付金における低コスト耐候性ハウスの上限事業費3300万円から3割低減した水準)に低減することを目指すため、その実現に資する技術を対象としている。また、適切な環境制御については、対象品目を特定し、当該品目の単位面積あたり収量を全国平均の2倍以上を目指すことができるものとしている。ハウスの耐候性については、耐風速35m/sを目安としている。
提案にあたっては、①ハウス本体・内部設備を合わせたトータルの技術に加え、②要素技術であって従来の低コスト耐候性ハウスに比べて3割以上のコスト低減が可能な技術も対象となっている。
提案資料については、ハウス本体・内部設備の性能や機能を明示するとともに、期待されるコスト低減効果について、慣行技術における設計、製造・加工、施工コストを分析した上で、具体的な根拠を記載することとなっている。
有望な技術には支援
提案会には、農業者、学識経験者等が委員として参加し、提案された技術について、現場への導入可能性や技術の科学的な妥当性等について意見を述べる。また、提案された技術のうち、有望な技術については、必要に応じて他の関連技術を組み合わせて商品化に向けた実証や追加的な技術開発に取り組めるよう支援を検討する予定だ。