パナソニックは、2020年に控える東京オリンピック・パラリンピックの開催に間に合うよう、世界初となる「自動運転車いす」の開発に力を注ぐ。2018年中の発売を目指す。事故などの不安が払拭されて普及が進めば、高齢者を支援する手法も変わっていきそうだ。
パーソナルモビリティ「WHILL(ウィル)」を生み出した「WHILL株式会社」と共同で開発する。衝突回避システムを駆使し、多くの人がいる場所でも安全に走行できるようにしたいとしている。パナソニックはこれまでも、病院内を移動して薬などを運ぶ自動搬送ロボット「HOSPI」を発表するなど、自動運転の技術にはリソースを割いてきた。
スマートフォンのアプリで行き先を指定すれば、最適なルートが表示される仕組みを想定。車いす同士で連動・追随する仕組みも備え、複数人が行動をともにすることも可能にする。パナソニックの担当者は、「利用者の行動範囲の拡大・活性化と合わせて、介護を担う人の負担軽減も実現したい」と話す。
すでに羽田空港で実証実験を行っている。来年度からは、利用者を運び終えた車いすを自動で元の位置に戻すテストを始める計画だ。まずはこうした一部の施設での展開を見込んでいる。それから段階的に、活用できる範囲を駅や街中などへも広げていく構想だ。