北海道大学は、国内大学として初めてCDP気候変動質問書2022に回答書を提出した。世界の大学の中では、今年回答した3校のうちの1校となる。CDPは、投資家、企業、国家、地域、都市が自らの環境影響を管理するためのグローバルな情報開示システムを運営する英国の国際環境NGO。680を超える世界の機関投資家・購買企業の要請を受け、企業や団体、自治体に対し、環境に関する質問書を通じた環境情報開示をグローバルに促進する活動を行っている。
また、CDP質問書は、ESG投資を行う機関投資家やサプライヤーエンゲージメントを推進する大手購買企業の要請に基づき、企業の環境情報を得るために送付されるもの。現在、企業向けには、気候変動、フォレスト、水セキュリティ‐の3種類の質問書がある。回答書はCDPにより分析され、CDPデータとして、世界中の機関投資家やESG調査機関、Climate Action 100+、Race to Zeroといったグローバル・イニシアチブ、ETF(上場投資信託)に対する気候格付けなどで活用されている。2022年度は、世界で1万8700以上の企業/組織、日本では北大を含む1700以上の企業/組織が回答している。
単なる〝環境負荷の低いキャンパス〟でなく
北大は1997年に、国内大学の先駆けとして大学の施設整備の基本計画となる「キャンパスマスタープラン」を策定した。また、2006年策定の「キャンパスマスタープラン 2006」で持続可能な発展を含むキャンパス環境の維持への取組も開始し、単なる〝環境負荷の低いキャンパス〟ではなく、社会的課題に根差した教育・研究を展開。周辺地域と調和したキャンパス整備を実施することにより、社会のウェルビーイングを多面的に支えることを目指している。
さらに、「気候変動に関する国際大学連盟」(IUCA)や「カーボンニュートラル達成に貢献する大学等コアリション」など気候変動に関する国内外の大学間エンゲージメントを通じた数多くの取組を行っている。
台風被害や干ばつ、温暖化による極地の海氷融解等、気候変動によるさまざまな問題を日々目の当たりにする現在、カーボンニュートラルの達成は喫緊の課題。北大は、カーボンニュートラルへ寄与する研究教育・大学間連携の推進というアカデミズムとしての貢献だけでなく、大学という経営体としてもカーボンニュートラルへの取組が重要と考え、CDP気候変動質問書への自主回答に至った。