■ポイント□
〇急性期病院から退院した高齢整形外科患者は転倒発生率が高く、再転倒予防の適切な指導を行うことが喫緊の課題
〇自宅訪問指導の代替手段として、退院時に自宅見取り図を用いた転倒予防指導を実施
〇転倒は2ヵ月、ヒヤリハットは3ヵ月の転倒予防効果を実証
大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科の上田哲也助教らの研究グループは、急性期病院に整形外科疾患で入院している転倒歴のある65歳以上の高齢者60名を対象に、一般的な運動療法のみのグループ30名(対照群)と、運動療法に加え退院時に自宅見取り図を用いた転倒予防指導を行ったグループ30名(介入群)に分け、退院後の転倒とヒヤリハットの発生について6ヵ月間の追跡調査を行った。
その結果、退院後2ヵ月で対照群では7.7%転倒が発生したが、介入群では発生しなかった。ヒヤリハットは、3カ月間で介入群が有意に少ない結果がみられた。それ以降は両群で有意差はなかった。
転倒は健康寿命を短くする主要な要因。超高齢社会が進むなか、多忙かつ患者の入れ替わりが激しい急性期病院で広く採用しやすい転倒予防施策の確立が重要と考えられる。
この研究成果は、「International Journal of Environmental Research and Public Health」に(オンライン)掲載された。