文化審議会(佐藤信会長)は、10月12日に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決を経て、富山県高岡市の勝興寺(しょうこうじ)を国宝に新規に指定し、和歌山県有田郡の角長(かどちょう)(加納家住宅)9件の建造物を重要文化財に新規に指定することを文部科学大臣に答申した。
この結果、官報告示を経て、国宝・重要文化財(建造物)は、2557件、5373棟(うち国宝230件、294棟を含む)となる予定。
国宝に指定された勝興寺は、高岡市伏木に位置する浄土真宗寺院。寛政7年(1795年)建立の本堂は破格の規模を持ち、17世紀中期建立の大広間は真宗寺院対面所の発展過程をよく示す。本堂と対面所を完備した、本山に準じる真宗寺院として屈指の規模、形式を誇る。
重要文化財に選出された角長(加納家住宅)は、湯浅町湯浅重要伝統的建造物群保存地区に位置する醸造家の醤油醸造施設群と住宅。敷地には、幕末から明治にかけて建設された、伝統的な醤油醸造施設がそのまま残り、かつ現役の醸造施設群として稼働している貴重な事例とされた。
今回、重要文化財には「名古屋テレビ塔」(名古屋市)、「経ケ岬灯台(旧第一物置)」(京都府京丹後市)などが指定された。名古屋テレビ塔は名古屋戦後復興のシンボルとの歴史を有し、経ケ岬灯台は近畿地方最北端に位置する白亜の洋式灯台。