理化学研究所(理研)仁科加速器科学研究センターは、クラウドファンディング「仁科芳雄の研究室を復元~科学する心を次の世代へ~新規タブで開きます」を公開、寄付募集している。理研のクラウドファンディングとしては、今年7月27日に開始した「科学史を未来へ繋ぐ~理化学研究所 資料修復・保存プロジェクト~新規タブで開きます」に続き、第2号となる。
仁科加速器科学研究センターは、わが国原子核物理の父・仁科芳雄博士の名前を冠した研究センター。センターの源流となった仁科博士は1931年、現在の東京都文京区駒込にあった理研で仁科研究室を創設。素粒子などの理論物理学やサイクロトロンを利用した原子核物理学の実験研究、原子力工学、宇宙線研究などの基礎研究を進めた。さらにそれらの研究成果を応用研究や社会実装へと展開させた。
昨年は仁科研究室創設90周年を迎えるなど記念すべき節目が重なる節目の年となったが、今回、現代の基礎科学の礎を築いた仁科博士の数々の業績を振り返り、今後の100年へとどのように研究を発展させ後世に伝えてゆくのかを考えるため、「仁科芳雄博士記念行事」を行うことした。
記念行事の一環として、公益財団法人仁科財団より譲り受けた仁科博士が当時使用していた机や椅子などを用いて、仁科研究室を再現した展示スペース「仁科芳雄記念室」を制作する。
仁科芳雄記念室は、在りし日の仁科研究室を復元するだけでなく、仁科研究室から生まれた数々の業績、わが国物理学の歴史なども展示しながら、仁科博士が育んだ自由闊達な雰囲気の中、活発に議論していた様子(コペンハーゲン精神)を感じてもらえる展示スペースとする。
この記念室を通じ、将来を担う若い世代に仁科博士の業績や志に触れてもらうことにより、学問への興味関心を育む機会を提供し、長期的な視点で人材育成にも貢献することを目指している。
さらに、クラウドファンディングでの寄付募集を契機として、仁科加速器科学研究センターの研究活動や取り組みなどを広く知っていただくことを期待している。
目標金額1000万円。クラファン期間は10月31日まで。募金方法などは理研ホームページやクラファンサイト「READYFOR」で公開している。