2022年8月30日 「コオロギ生産ガイドライン」をとりまとめ メーカーが守るべき生産工程に関する事項を整理

「『知』の集積と活用の場」における研究開発プラットフォームの一つである「昆虫ビジネス研究開発プラットフォーム(iBPF)」が、昆虫メーカーが守るべき生産工程に関する業界ガイドラインを策定した。ガイドラインの策定過程では、農林水産省が事務局を担当しているフードテック官民協議会における「昆虫ビジネス研究開発ワーキングチーム」が、国内において昆虫食の食材として扱われることが多いコオロギについて、食品安全・飼料安全・昆虫に係る専門家や昆虫メーカー等からの意見を基に議論し、その後、iBPFがとりまとめたもの。今後は、コオロギ以外の種のガイドライン策定に向けて検討が進められる。

iBPFでは、昆虫ビジネスの加速に向け、産学官民の情報交換・マッチングの場の提供、昆虫の産業利用に関する各課題の解決を目指している。

この取組の中で、今回、コオロギを食用・飼料用として生産する際に生産者が遵守すべき管理手法を定めた「コオロギ生産における安全性確保のためのガイドライン」を、第1号ガイドラインとして公開した。

このガイドラインでは、食品衛生・飼料安全に関する専門家、コオロギ生産者等からの意見を基に、コオロギ生産で遵守すべき内容がとりまとめられている。「エンマコオロギ」、「タイワンエンマコオロギ」、「フタホシコオロギ」、「ヨーロッパイエコオロギ」の4種のコオロギを対象としている。

ガイドラインを活用して、生産者が管理方法を定め、実践・点検・評価することにより、コオロギの生産過程における安全確保を図ることが期待される。

今後は、このガイドラインを基礎に、マニュアル作成や他の昆虫での検討を進めることで、健全な産業利用をバックアップしていくとしている。

 

ガイドライン・概要

日本では、爬虫類や両生類等の一部のペット用飼料や、地域によっては人の食料や薬としてコオロギを利用するケースが見られる。それらはあくまでも一部であり、広く一般的に食品、あるいは家畜や養魚の飼料としてコオロギが利用されてきたことはなかった。

コオロギが人間用の食物(直接的、飼料を介して間接的)として注目されるようになったのは、2013年にFAOがレポートを公表したことがきっかけ。これを機に、今後、食品または飼料としてのコオロギの利用が広まることが予測されるが、そのためには大量かつ安定的に生産することと、生産過程と利用課程での安全性が確保されることが求められる。

こうした実態を踏まえ、iBPFは、食品または飼料の原料として利用することを想定したコオロギの生産過程における安全性を確保し、食品・飼料としてのコオロギに対する消費者の信頼を築くことを目的にガイドラインを作成した。

このガイドラインは、人に対する食品と、家畜や養魚に対する飼料の両方に適した製品を提供すること(いわゆるワンヘルス・アプローチ)を目的に、食品衛生学や栄養学等の研究者・専門家、コオロギ生産者からの意見等をもとに、農林水産省が事務局を担うフードテック官民協議会における昆虫ビジネス研究開発ワーキングチームにおいて、食品・飼料としてのコオロギ生産が遵守すべき内容を検討し、iBPFがとりまとめたもの。

その内容では、食品・飼料の原料としてのコオロギを対象とする生産施設の構成、生産管理の方法、生産者の労働安全対策、周辺環境の保全対策等に関する管理手法の指針が定められている。

このガイドラインは、生産者自らが、生産工程で想定される危害要因(生産物等の散逸、有害化学物質による汚染、病害虫の発生、異物の混入等)について、管理すべき項目を決定し、管理方法を定めた上で、これを実践・記録し、さらにこれを点検・評価して改善点を見出し、逐次生産の改善に活用する上での有用な基準を提供することを目的としている。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.