京都大学大学院教育学研究科の齊藤 智教授、東京大学大学院教育学研究科の柳岡開地日本学術振興会特別研究員PD(研究当時、現:大阪教育大学特任講師)、カリフォルニア大学デービス校 ユーコ ムナカタ教授らの国際共同研究グループは、幼児期の「満足遅延」(すぐに得られる小さな報酬を我慢し、将来得られる大きな報酬を優先すること)が文化に特有の〝待つ〟習慣により支えられることを明らかにした。
日本の幼稚園や保育所、小学校、家庭では、皆が揃ってから「いただきます」と唱え、食べ物を口にする習慣がある。研究グループは、こうした食卓文化の中で育った日本の子どもは、食べ物を報酬とした満足遅延課題の待ち時間が長いと仮定した。
検証のために、日本と米国の子どもを対象として、包装されたプレゼントを報酬としたギフト条件(日本の子どもには〝待つ〟習慣が形成されていないと予想)とマシュマロを報酬とした食べ物条件を比較した。
その結果、予想通り、日本の子どもたちは、ギフト条件よりも食べ物条件で、目の前の報酬を我慢する割合が高いことが示された。一方、米国の子どもたちは、食べ物条件よりもギフト条件において、報酬を我慢する割合が高いことが明らかとなった。
この研究成果は、6月24日に、米国の国際学術誌 「Psychological Science」にオンライン掲載された。