2022年7月22日 「スポーツ教養演習」を改定 早稲田大が来春から 「伝えるスキル」学修

早稲田大学スポーツ科学部は、来春入学の新入生から、スポーツの自然科学・人文社会科学領域にわたる社会課題を用いて〝共有し、考え、伝え、発信する〟ためのアカデミックスキルズを実践・体得する教育プログラムを実施することになった。新入生の必修授業「スポーツ教養演習」を一新する。

2023年度新入生から内容を改定する「スポーツ教養演習」は、教養教育あるいはリベラルアーツに根差したスキルである対話、ライティング、相互評価(ピアレビュー)、プレゼンテーションを扱う。専門領域を題材として扱うことで学生の興味を引き付けつつ、これらのアカデミックスキルズを体得させる点が特徴。

1年生春学期には、少人数グループワークによる対話のプログラムを実施し、幅広い社会課題に取り組むことで、問題を〝共有〟して一緒に〝考える〟ためのスキルを修得する。1年生秋学期には、レポート執筆と学生同士のレビューを繰り返すことで、〝伝える〟スキルを学修する。

2年生春学期には、プレゼンテーションの基礎を理解して、〝発信する〟スキルを学修。これらを通して、学生が主体的に学修に取り組み、専門知を活かして実行し、社会で活躍するための基礎的なスキルを1.5年の3セメスターのうちに体得できる教育プログラムになっている。

この教育プログラムの計画が評価され、一般財団法人三菱みらい育成財団「21世紀型教養教育プログラム助成事業」に採択されることが決定した。今回の助成事業採択によって、対話促進ツールの導入やアカデミックスキルズの教科書配布、改革に伴う資料教材の改善などをスムーズに行えることになり、本格的な改定準備へと大きく前進することとなる。

 

◆教養教育とアカデミックスキルズの関係◆

教養教育は、中世の自由七科に源流を有している。自由七科は、文法学・修辞学・論理学の三学と、算術・幾何学・天文学・音楽の四科。このうち三学は言語を扱うスキルで、最初に学ぶべきものとされてきた。四科は学ぶべきコンテンツの位置づけ。

早稲田大の教育プログラムでは、教養教育のうち三学に関連したアカデミックスキルズに焦点を絞った。学生たちの考えを〝共有〟し、皆で〝考え〟、学生同士で〝伝え〟、皆に向かって〝発信する〟ことを、専門領域を題材に学修する。

 

◆プログラムの特徴◆

来春から行われる新たなスポーツ教養演習は、早大スポーツ科学部の専門であるスポーツに関連する自然科学・人文社会科学領域にわたる課題を用いてアカデミックスキルズを学修する点が特徴。教養教育では、教育内容の多様性に注目が集まる。同プログラムでは、むしろスキルに焦点を当て、教育内容はスポーツに関連したものとなる。

スポーツ界にはさまざまな社会課題(LGBT、人種問題、貧困・格差から現れる各種問題など)が凝縮されている。これらの社会課題を題材として、対話やライティングによって、自他の意見をまとめる実践を繰り返し、プレゼンテーションでまとめるプログラム構成になっている。こうしたことを背景に、1年次の課題では2~4名の少人数で、2年次では4名以上で、グループワークの人数を積み上げ、対話スキルの向上を狙う。

また、同プログラムでは、目的の明確な教養教育を提供するために、専門知を扱うことで学生の興味を引き付けつつ、アカデミックスキルズを体得していくことも特徴。教養教育の重要性は最近特に着目される一方、熱意をもって入学した学生にとっての教養教育は、ともすれば退屈なものと感じられることが課題だった。今回の改定により、この問題を解決し、学生が熱意を持って取り組めるようなプログラムになる。

学際性の高いスポーツ科学部ならではの専門領域と融合した教養教育プログラムである点も特徴で、教員の研究領域が自然・人文社会科学にわたることを活かして、スポーツにおける各種課題を提示することが可能となる。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.