■ポイント□
〇名大大学院法学研究科教授が法曹実務家、映像の専門家とともに本格的な刑事訴訟の映像教材を制作
〇法改正により高校生が裁判員に選任される時代になることを受け、高校生や保護者、教育現場の先生方と一緒に刑事裁判について考えたいという想いから企画された
〇映像教材の原作となるストーリー、解説、書式等をまとめた書籍「刑事訴訟教材」(仮)を公刊予定。映像と書籍を連携し、実践的かつより詳細に刑事手続の学習が可能
国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学大学院法学研究科「法実務技能教育教材研究開発プロジェクト」(PSIMコンソーシアム 代表:名古屋大学大学院法学研究科・藤本 亮教授)は、同大学大学院法学研究科の宮木康博教授を中心に、捜査から裁判に至る各刑事手続段階を実感できる映像教材の第一弾として「刑事訴訟(捜査編)」を制作し、一般公開している。
2009年5月21日からスタートした「裁判員制度」は、候補者の選任手続への出席率は年々低下の一途をたどり、2019年度には辞退を認められた裁判員候補者が66.7%に上っている。
一部の国民しか刑事裁判に参加していない状況は、裁判員法が掲げる〝司法に対する国民の理解の増進〟や〝信頼の向上〟という目的の根幹が揺らいでいることを意味する。また、再犯防止や犯罪被害者支援施策にも暗い影を落とすことになりかねない。
公職選挙法の改正に伴い2022年から新たに高校生も裁判員に選任される時代となった(実際には2023年開始)。裁判員に選任されることも、選挙権を持つことも、社会生活を送る上で重要な機能への主体的関与である点で変わりない。
同プロジェクトでは、「今回の法改正を機に、より良い社会という花を咲かせるべく、もう一度、大学から地域に根差す種をまき、コミュニティーの皆さんと一緒に根を張ることに取り組んで行きたいと考えています。本VTRを多くの方にご視聴いただき、実際に運用されている刑事手続と向き合いながら「人が人を裁くということ」の意味、ひいては、刑事裁判をめぐる諸問題を考える契機となれば幸いです」としている。