文科省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が取りまとめた「民間企業の研究活動に関する調査」の2021年度調査結果によると、研究開発者の採用では、新卒採用を行った企業の割合が顕著に増加する一方で、中途採用を行った企業の割合が大幅に減少し、博士課程修了者の採用は低調だった。研究開発者の能力向上のための取り組みについて初めて調査し、社会人大学院生としての大学院通学と論文博士による博士号取得をサポートしている企業の割合は、博士課程修了者を採用した企業の割合より高いことが明らかとなった。
また、研究開発者として博士課程修了者を採用しない理由を9年ぶりに調査したところ、マッチングの問題が大きいとの回答が半数以上という結果となった。
研究開発者として新卒採用した企業の割合は2020年度に46.5%となり、前年度より8ポイント増加したものの、中途採用を行った企業の割合(27.6%)は前年度(32.4%)より大幅に減少し、また、博士課程修了者の採用は依然として低調だった。
研究開発者の能力向上のための取組について初めて調査し、社会人大学院生としての大学院通学や論文博士による博士号取得をサポートしている企業の割合はともに13%台であり、博士課程修了者を採用した企業の割合(9.6%)より高いことが明らかとなった。
研究開発者として博士課程修了者を採用しない理由として企業があげたのは、応募が無い、必要とする専門分野の博士課程修了者が見つからないなど「自社と博士課程修了者のマッチングがうまくいかなかったため」が52.6%と半数を超えた。
次いで、「特定分野の専門的知識を持っていても自社ですぐには活用できないから」が27.7%だった。また、「企業内外での教育・訓練によって社内の研究開発者の能力を高める方が、博士課程修了者を採用するよりも効果的だから」が23.6%を占めた。以下、「企業の研究開発の規模が小さい、もしくは縮小するから」(19.2%)、「特定の専門分野以外では研究を推進できないから」(7.1%)と続いている。