日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は8日、「日本の医療に関する意識調査 2022年中間調査」を公表した。それによると、「かかりつけ医がいる」と答えた人が全体の55.7%に上ったことがわかった。割合は2020年7月に行った前回調査の結果(55.2%)から微増。ただし、前々回(55.9%)やその前(53.7%)をみても、ほぼ横ばいで推移しているといえる。
調査は今年3月に実施。全国の20歳以上の男女1152人から有効な回答を得た。
かかりつけ医の有無を尋ねたところ、「いないがいるとよいと思う」と答えた人は18.3%、「いない」と答えた人は25.6%を占めた。
回答を年代別でみると、従来の調査と同じく高齢になるほど「いる」と答えた割合が上昇。29歳以下が29.7%なのに対し、50代では50.5%と半数を突破、70歳以上では76.5%がかかりつけ医を持っていた。
かかりつけ医の属性(複数回答)をみると、全体の約8割が診療所の医師だった。診療科(同)では、内科が92.9%と多数。ただ、整形外科(12.6%)や眼科(11.0%)、外科(8.6%)なども一定数いることから、日医総研は「診療科は多岐にわたっている」と述べている。
医師をかかりつけ医にしている理由(複数回答)を聞いてみると、「身近で何でも相談できること」(54.7%)と「住まいや職場の近所であること」(54・5%)が、共に半数を超えていた。なお、回答を20~44歳、45~64歳、65歳以上の3つに分けてみたところ、「身近で何でも相談できること」は年代が上がるごとに割合が上昇。逆に「住まいや職場の近所であること」は徐々に割合が下がっていく傾向を示した。
■かかりつけ医の情報が不足
調査ではかかりつけ医がいる人とそうでない人の情報格差も明らかになった。具体的には「かかりつけ医がいる」と答えた人の場合、80.4%が「情報が足りている」、「まあ足りている」と答えた一方、「かかりつけ医はいないがいるといいと思う」という人では71.1%が、「かかりつけ医がいない」と答えた人では60.0%が情報不足(不足している+やや不足している)と感じていた。
医療機関の場所や診療時間など以外に必要な情報では、「かかりつけ医が得意とする治療分野」(91.7%)や、「連携している医療機関」(90.7%)、「診療実績」(85.4%)がいずれも高い割合をみせた。
調査結果を受けて、研究班は「国民の間でのかかりつけ医に関する周知度は必ずしも高くない」と指摘。「分かりやすい言葉でかかりつけ医の説明を行い、情報を届けることが求められている」と方針を示した。また、ニーズは基本情報に加えて、個々の医療機関や医師の診療内容など掘り下げたものにまで及んでいると分析。「これらの情報については、現場のかかりつけ医も協力して、情報提供を行っていくことが重要だ」と結論付けている。