旭川医科大学社会医学講座の吉岡英治准教授の研究グループは、北海道大学環境健康科学研究教育センターのSharon Hanley特任講師と共同で、昨年12月までの新型コロナ感染症の流行が日本人の自殺率の推移に及ぼす影響を解析し、自殺率が増加したことを明らかにした。特に、女性や若い世代で自殺者の増加は顕著だった。
この研究では、2020年4月から2021年12月までの期間をパンデミック期間として、この期間での自殺の過剰死亡の推定値を算出した。過剰死亡とは、もしパンデミックがなければ起こらなかった可能性のある死亡者数を意味している。
パンデミック期間の日本人の自殺者の総数は男性2万2304人、女性 1万1836人だったが、過剰死亡数は男性1208人、女性で1825人にのぼった。
性別年齢別の分析で、特に過剰死亡数が多かったのは、男性の20‐29歳(自殺者数2740人、過剰死亡数466人)、40-49歳(3901人、423人)、女性の30-39歳(1277人、421人)、60-69歳(1538人、396人)、20‐29歳(1469人、352人)だった。
この研究成果は、日本時間5月30日付で、学術雑誌 The Lancet Regional Health-Western Pacificに掲載された。