■ポイント□
〇はさみで切りながら粒を数えるのは困難
〇作業中の房に含まれる粒数を高精度で推定
〇一般ぶどう農家への普及が期待
山梨大学工学部コンピュータ理工学科の茅 暁陽教授の研究グループが、新たにスマートフォンでもリアルタイムに動作するぶどう摘粒時の粒数自動測定AI技術を開発した。
ぶどうは年間を通じて管理作業が行われる作物で、摘粒作業は、ぶどうの最終房型を形成するうえで特に重要な作業の一つ。仕上げ摘粒後の粒数は品種ごとに決まっており、例えば、ピオーネでは32粒、巨峰では35~40粒など、必要な粒数を残して余分な粒を切り取る必要がある。
はさみでぶどうを切りながら粒を数えるのは、経験者にとっても困難かつ時間を要する作業。そこで、茅教授の研究グループは山梨県内の農業生産法人ドリームファーム㈱と連携し、通常の摘粒作業を行いながら、スマートグラスに装着しているカメラの映像から、作業中の房に含まれる粒数推定できるAI技術を開発し、令和2年度に特許を取得した。
しかし、ブドウの検出にはディープニューラルネットワークを使用するため、推定計算には高速GPUサーバーが必要となる。
今回開発した技術は、最新の高速物体検出ディープニューラルネットワークモデルに独自のパラメータ推定アルゴリズムを組み合わせることで、通常のスマホでもリアルタイムで作業中の房に含まれる粒数を高精度で推定できるようにしたのが最大の特徴。
現在、広島県農業経営発展課が実施する「ひろしま型スマート農業推進事業<未来に向けた農業経営DX~ぶどう~>(代表:㈱エネルギア・コミュニケーションズ)で実証実験と改良を行っており、今後一般のぶどう農家に向け,安定な動作が保証されたアプリの普及が期待される。