福岡県飯塚市(片峰 誠市長)、国立大学法人九州工業大学(三谷康範学長)、(株)アイティフォー(本社:東京都千代田区、佐藤恒徳社長)、(株)chaintope(本社:福岡県飯塚市、正田英樹CEO)は、産学官連携による「九州工業大学の履修証明書電子発行に関する共同実証実験」を5月から本格開始した。
公的機関である大学の証明書をデジタルで発行し、行政が運用までを想定してデジタルで受け取る、まさに「デジタルtoデジタル」プラットフォームを活用した社会実験で、日本初の事例となる。
飯塚市では令和3年に「飯塚市ブロッチェーン推進宣言」を発表し、飯塚市内の産学官と連携を図りながらブロックチェーン技術の振興支援に努めてきた。今回の実証実験は、九工大やchaintopeといった地元の大学・企業、地域金融機関や自治体を中心にソリューションを提供するアイティフォーと連携し、一丸となって業務の電子化に取り組むことで、情報産業都市づくりをさらに加速させようとするもの。
実証実験では、九工大が開講する情報教育支援士養成講座の履修証明書を電子発行し、講座修了生が専用スマホアプリで電子証書を受領。飯塚市へ電子的に提出し、証明書の真正性を検証確認の後、修了生が実務活用するといった一連の運用を実施する。
ブロックチェーン技術を活用したトラストサービス「電子交付システム」の有効性を検証し、証明書発行業務の効率化、利便性の向上によるコスト・業務負荷の削減効果を実証するもので、電子交付システムによって認証された情報教育支援士が、実際に活動する場を公的に設けることで地域のICT教育・リテラシーの向上や人材の域内資源に対する相乗効果についても実証する。
九工大情報工学部は、社会人を対象とした情報教育支援士養成講座を開講しており、全講座の受講修了生には履修証明書を紙で発行してきた。しかし今回の実証実験では、この履修証明書をトラストサービス「電子交付システム」を用いて電子化する。修了生は証明書を専用アプリで飯塚市へ提出。市は提出された履修証明書の真正性をシステム上で検証・確認の上、講師登録を行う。講師登録され、電子証明書で認証された修了生は、飯塚市が10回程度開催予定の情報教育イベントや中学校・高校の授業に、講師や補助員として参加する。
初年度の実証期間は今年9月までの5か月間。実験結果をもとに、電子交付システムの新たな活用に向け、4者一丸となってさらに検証を進めていく。
また飯塚市は、今回の実証実験を機にブロックチェーンをはじめICTを活用した取り組みを展開していくことで、市の将来のIT人材の育成、さらには地域経済の発展を目指していく。
九工大は今後、情報教育支援士の活動を一層広げ、ICT教育やリカレント教育の活性化に貢献していく。さらに、今回の経験を踏まえ、学内手続きの電子化を進め、学生へのサービス向上やペーパーレス化、業務改革(BPR)を推進していく。
アイティフォーとchaintopeは、国内の地方大学へトラストサービスの横展開、電子証明書活用のため、民間企業との連携を推進していく予定。さらに、自治体が発行する住民情報に関する各種証明書の電子交付サービスに拡大展開し、地方DXに向けた「デジタルtoデジタル」プラットフォームを確立・定着させることで、地域住民の生活を支援するとともに、持続可能な社会の実現を目指していく。