■ポイント□
〇工学研究科と流体科学研がNASAエイムズリサーチセンターと共同研究を開始
〇NASAエイムズが開発する火星ヘリコプターのブレードの空力特性の評価を東北大が開発した火星大気風洞により実施
昨年、米航空宇宙局(NASA)の「火星ヘリコプター インジェニュイティ(Mars Helicopter Ingenuity)」が飛行に成功し大きな成果があったとの報道があり、火星探査技術向上への期待が大きな話題となりました。東北大学大学院工学研究科と同流体科学研究所は、火星ヘリコプターの開発を行うNASA エイムズリサーチセンターの『Rotorcraft ptimization for the Advancement of Mars eXploration』(ROAMX)プロジェクトと共同研究を開始した。
NASA エイムズリサーチセンターが開発する火星ヘリコプターのブレードの空力特性の評価を東北大学が開発した火星環境を模擬した風洞設備である火星大気風洞を用いて行う。ここでの評価が次期の火星ヘリコプターのブレードの設計・開発につながることが期待される。
火星環境を模擬した風洞試験
ヘリコプターブレードは翼と呼ばれる形状をしており、高速に移動する際に上向きの揚力と移動方向とは反対方向にかかる抗力が発生する。これらの評価を行うには、風洞を用いた実験やシミュレーションを実施する必要がある。火星大気密度は地上の100分の1程度であることから、通常の風洞試験では環境を評価できないことや、シミュレーションでも検証が必要なことから、火星環境を模擬した風洞試験が求められてきた。
東北大大学院工学研究科航空宇宙工学専攻の野々村拓准教授と同流体科学研究所の大林茂教授の研究グループは、これまでに火星環境を模擬した風洞試験を実施できる世界で唯一の火星大気風洞を開発しており、この設備によるブレードの空力性能の評価を行うために、ROAMXプロジェクトと共同研究を開始した。
ここでの評価が次期の火星ヘリコプターのブレードの設計・開発につながることが期待される。共同研究で得られた結果はNASAと共同で学術論文誌等で発表する予定。