□ポイント■
〇日本の伝統食で栄養価の高い納豆を用いて、独自のクセを抑えた食べやすいスイーツを開発
〇動物性由来の原料を使用せず、ヴィーガン主義者が安心して食べられるチョコレートを販売
〇学生は商品企画・開発・マーケティング・販売を実学として学習
近畿大学経営学部(大阪府東大阪市)経営学科の古殿幸雄教授ゼミは、納豆の生産・販売を手掛ける㈱エイコー食品(大阪府門真市)からの委託研究の一環として、納豆インフルエンサーの鈴木真由子氏、チョコレートを販売するMpraeso合同会社(東京都新宿区)と共同で、納豆のクセを抑えたチョコレート『Kin Chocolate』を開発した。乳製品を原料としないチョコレートを使用したヴィーガンの人でも食べられるスイーツで、令和4年(2022年)6月18日(土)から本格的に販売を開始する。
※ ヴィーガン:不可能でない限り、動物を搾取し虐待するあらゆる形態を排除しようとするヴィーガン主義を日常生活で実践する人に使われる言葉。食の多様性としての観点では、動物性由来の製品を摂取しないことを意味する。
ヴィーガン主義の〝救世主〟納豆
古殿ゼミでは、㈱エイコー食品から委託を受け、令和2年(2020年)から納豆のクセを抑えたスイーツとして納豆チョコレートの開発に取り組んできた。納豆は日本の伝統食品の一つで、5大栄養素全てが含まれているスーパーフードとして知られている。お肉の代用でもあり、食物繊維も豊富なため満足感も感じやすい食材。特に、動物性由来の製品を摂取しないヴィーガン主義の人の食生活では、特定の栄養素の不足が懸念される。
ヴィーガン主義の人は、タンパク質・ビタミンD・ビタミンB12・鉄・カルシウム・亜鉛などがどうしても足りなくなっている。
このうち、タンパク質・カルシウム・鉄・亜鉛を取ることができる食材こそ〝納豆〟。しかし、ネバネバ感や独特のにおいに特徴があり、海外では受け入れられにくいという問題がある。
そこで、「納豆を手軽で食べやすくし、魅力を世界まで広めたい。ヴィーガンにこだわった栄養補給のできる健康志向のスイーツ」をコンセプトに、キャッチコピーを「近大×納豆インフルエンサー考案、異色のコラボで美味しく栄養補給」と掲げ、納豆インフルエンサーの鈴木 真由子氏と話し合いを繰り返し、試作や試作品販売などをしてきた。
本格的な販売開始にあたり、フランボワーズ・くるみ・ピスタチオ・チョコミントの4種類のフレイバーを用意し、商品名は納豆菌の〝菌〟と近畿大の〝近〟という二つの意味を込めた『Kin Chocolate』とした。
「ヴィーガン」「オーガニック」など健康志向の店舗での取り扱いをはじめ、オンラインショップでの購入も可能。不要なものを一切使用しない、素材にこだわった健康志向の新感覚スイーツとして、多くの人に手に取ってもらえるような商品を目指している。また、商品のパッケージにはプラスチックを使用せず、環境に配慮したエシカルな商品に仕上げた。