■ポイント□
〇負担となっているオンコール体制
〇医療者・患者双方にメリット
〇プライマリ・ケア医の負担軽減に期待
わが国では在宅医療の需要が増加している。日常的な地域医療に対応するプライマリ・ケア医が在宅医療を担うことが期待されているが、患者の急変などに備えて待機する24時間のオンコール体制は、プライマリ・ケア医にとって負担となっている。在宅医療を受ける患者の中でも、短期間に繰り返し往診が必要となる頻回往診のハイリスク患者をあらかじめ把握できていれば、医療者側・患者側双方にとって、適切な準備や医療資源配分の一助となる可能性がある。しかし、頻回往診の発生を予測するリスクスコアは、これまで存在していなかった。
筑波大学医学医療系ヘルスケアサービス開発研究センターの田宮菜奈子教授は、こうした現状を踏まえて在宅医療患者の頻回往診を予測するリスクスコアを開発した。茨城県つくば市及び千葉県柏市の医療レセプトと要介護認定調査を連結した匿名化データセットを用い、訪問診療を新たに開始した65歳以上の高齢者における頻回往診(平均月1回以上の往診と定義)を予測するもの。
分析の結果、在宅酸素療法(3点)、要介護度4-5(1点)、悪性腫瘍(4点)‐の三つの変数で構成される簡便なリスクスコアが、頻回往診の良い予測能を示した。
この研究成果が臨床現場で活用されることにより、頻回往診のハイリスク患者に対する適切なケアや、プライマリ・ケア医の負担軽減に役立つことが期待される。