2022年5月26日 【東北大】疲労回復神話をメタ解析 運動後の筋力回復に着圧サポーターは効果的か?

■ポイント□

〇疲労の軽減や筋力回復に対する着圧サポーター(コンプレッションサポーター)の効果について、一般化逆分散モデルを含むメタ解析注を実施

〇トレーニング中またはトレーニング後の着圧サポーターの着用は、運動後の筋力回復を促進するとは言えないことが明らかに

〇身体運動による筋力への悪影響を軽減するための補助方法として人気の着圧サポーター使用を再考し、代替方法を模索する必要性を示唆

 

着圧サポーターとは、筋肉や関節に一定の圧力をかける装着具で、怪我の予防や疲労の回復に効果があるとされている。特に疲労の軽減や筋力回復のために、トレーニング中や試合後に着圧サポーターを使用することが、ここ数十年来、人気を博している。東北大学大学院医工学研究科のネギヤシ ヤノシュ特任助教、永富良一教授らの国際研究グループは、着圧サポーターが運動後の筋力回復を促進するかどうかについて、メタ解析を含むシステマティックレビューを行った。その結果、着圧サポーターを使用しても、トレーニング中・トレーニング後の筋力回復には効果があるとは言えないことが示された。本研究成果は、疲労を残しにくい新しいトレーニング方法を開発する必要性を示唆している。

ネギヤシ・ヤノシュ特任助教らの研究グループは、オランダのグローニンゲン大学、英国セント・メリーズ大、ドイツ・ポツダム大と共同で、着圧サポーターが運動後の筋力回復を促進するかどうかについて、メタアナリシスを含むシステマティックレビューを実施した。

五つのデータベース(PubMed、SPORTDiscus、Web of Science、Scopus、EBSCOhost)で体系的な文献検索を行い、350人の健常者を含む19のランダム化比較試験からデータを抽出し、メタ分析を行った。

標準誤差に関して重み付けした試験間標準化平均差を集計し、サンプルサイズで補正して全体の試験間標準化平均差を算出。運動の種類、着圧サポーターを貼る部位とタイミング、運動終了からその後の検査までの時間を考慮した。

その結果、トレーニング中やトレーニング後に着圧サポーターを装着しても、運動後の筋力回復を促進するとは言えないことが示唆された。

これまで着圧サポーターは、怪我の予防や疲労の回復に効果があるとされてきたが、この研究により、少なくとも疲労回復に効果があるとは言えないことが示された。この研究によって、疲労を残しにくい新しいトレーニング方法を開発する必要があることが示された。


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