業界最大手のSOMPOケアは4月21日、当面の事業戦略を明らかにする記者会見を都内で開催した。
現場で得られる様々なデータを駆使した〝予測する介護〟に軸足を置く方針を打ち出した。従来の〝現状に対応する介護〟からの転換を目指す。サービスの質を向上させる、利用者の自立支援・重度化防止の成果を更に上げる狙いだ。
代表取締役会長CEOの遠藤健氏は会見で、「ご利用者が元気なうちから手を打てるようになる。実際に状態が悪化してからではなく、効果的なサービスを先手で提供できるようにしていく」と説明。「職員にとっても、ご利用者に寄り添ったケアの実践によるモチベーションの向上、業務負担の軽減などのメリットがある。ご利用者、職員、会社の〝三方良し〟の世界を実現したい」と語った。
SOMPOケアは〝予測する介護〟を推進するツールとして、既に「自立支援アプリ」の開発を進めている。高齢者のバイタル、食事、睡眠、服薬、活動、認知機能などに加え、実際に提供されたサービスの内容も含む幅広いデータを収集・解析。目下の状態をスコア化するほか、3ヵ月後の予測(悪化・維持・改善、何が悪化するのかなど)も提示する。その予測に応じて、「栄養の補助を検討する」「トイレまでの導線を見直す」など具体的な改善策も提案する。
現在、SOMPOケアは現場でこのツールのトライアルを実施中。今年度中にも本格運用の開始に繋げていく計画だ。
遠藤氏は会見で、今後の介護ニーズの更なる拡大や人手不足の一層の深刻化も念頭に、「専門職らの経験と勘、観察力という匠の技を頼りに、全てのご利用者の状態変化を捉えて予防策を講じることにも限界がある」と指摘。「専門職のノウハウをできる限りAI化して広く展開できれば。経験や勘に加えてデータを活用すれば、今まで気付かなかった状態をケアすることなども可能になる」と述べた。