10月に内閣官房と農林水産省が実施する「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」の第3回選定が行われ、30地区の農山漁村活性化の優良事例が取り上げられたが、12月2日に行われた有識者懇談会でその中からグランプリと特別賞が決定した。
グランプリを受賞した北海道別海町の株式会社べつかい乳業興社では、乳製品を製造しているが、製品に町名である「べつかい」を使用してブランドを確立させている。また、大手コンビニチェーンや北海道内の和洋菓子店等と連携して新商品の製造・販売を行っており、こうした取り組みを通じて別海町をPRしている。アイスクリームの輸出など、販路も国内外に拡大しており、売上や輸出量も順調に伸ばしてきた。このほか、乳製品加工研修施設で牧場経営者や町民等に対してチーズ作りなどの指導も行っており、この取り組みによって町の関連産業の発展・向上にも寄与している。
特別賞については、斬新な発想に基づき6次産業化の推進等に取り組んでいる優良事例を表彰する「プロデュース賞」は宮崎県高千穂町の高千穂ムラたび協議会、外国人旅行者等を農山漁村に取り込む交流促進に取り組んでいる優良事例を表彰する「フレンドシップ賞」は秋田県仙北市の仙北市農山村体験推進協議会、農林水産物やその加工品の輸出に取り組んでいる優良事例を表彰する「チャレンジ賞」は徳島県那賀町の木頭ゆずクラスター協議会、女性や高齢者、障害者の活躍がその活動の大きな原動力となっている優良事例を表彰する「アクティブ賞」は北海道芽室町の株式会社九神ファームめむろが受賞した。
「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」は、「強い農林水産業」と「美しく活力ある農山漁村」の実現に向けて農山漁村の有するポテンシャルを引き出すことで地域の活性化や所得向上に取り組んでいる優良事例を選定するもの。平成26年から行われており、今回が3回目の選定となるが、全国から769地区の応募があった。
この取り組みの大きな目的は、地域の優れた取り組みに目を向けてもらうこと。さらに、そうした取り組みが、他地域の取り組みの参考や契機となること。
日本各地には、それぞれの特色を活かした地域の取り組みが数多くある。そうした取り組みに注目が集まることは、地域に人を呼び込むことだけでなく、他地域の新たな取り組みのきっかけにもなる。こうした地域の取り組みが広がることで、地方だけでなく日本全体の活性化に繋がっていくことが期待される。