2016年12月5日 医師の半数がピロリ菌の検査を受診 感染していたうちの8割強が「除菌した」

胃がんと強い関連性があるといわれているヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染について、医師の約半数が検査を受診していることが22日、国内の医師約10万人以上が参加する医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」の調査でわかった。

ピロリ菌の感染については、胃がん発症との関連を示すエビデンスが蓄積されている。現在は、有効な予防医療として検査と除菌を重視しているものの、一般社会への認知度はまだ低いといわれている。

調査は、インターネットを通じて10月3日から9日にかけて実施。サイトに登録している4498人の会員医師から有効な回答を得た。その結果、医師のピロリ菌の「検査受診率」は49.8%だった。検査を受けた医師のうち、ピロリ菌に感染していたのは39.0%に上っている。

具体的に、検査を受けて感染もなかった医師からは、「日本の上水道環境が整った1960年代あたりからヘリコバクター・ピロリの感染率は下がっています。20~30代ぐらいでは感染者の方が少ないでしょう。万一、感染があるようなら除菌すべきだし、採血などで済む話なので早く調べた方がよいと思います」(50代、一般内科)や「内視鏡検査をしていると、ピロリ菌感染の有無で明らかに違う。除菌、未感染者の増加で最近は胃癌にお目にかかることが激減しました」(50代、一般内科)など、感染率の低さや検査の有効性を推奨する意見が多かった。

一方、検査を受けていなかった医師の71.3%は「検査を今後受けたい」と回答。「ピロリ菌がいるとどこかの時点で胃癌になるとの話を聞いてからは、ピロリ菌いるなら除菌したいと思います」(30代、放射線科)や「なかなか時間がなくて内視鏡の予約取れません。でもいずれ検査しようと思います。胃がんの一番のリスクですしね」(40代、循環器内科)などと答えている。

これに対し、未受診の28.7%は「今後も受けようと思わない」と回答。その理由については、「現在63歳で、これまで胃潰瘍や、十二指腸潰瘍の既往なし。家族歴にも潰瘍・胃がんの既往なし。そのため検査は受けません」(60代、感染症科)などリスク要因から判断した人や、「2人に1人が持っている菌を、わざわざ除菌する気はない。それよりも生活習慣を正すことの方が重要。不適切な生活習慣の上では、除菌だけで胃癌撲滅はあり得ないと思う。時間をかけて指導するのは、投薬するより大変な労力をかけてしまうが、医療とはそれが本来の姿ではないか?」(60代、一般内科)など、検査の有効性に疑問を示す声があがった。

また、感染していた医師の86.5%は除菌を実施。コメントでは、「除菌後、腸内フローラが変化したようで、すごく便通がよくなり、体調がよくなりました。経験すると、患者にも説明しやすくなりますね」(50代、一般内科)や、「食後の胸やけや二日酔いの時の嘔気嘔吐がほとんどなくなり、とても快適です。人生の苦しみの何割かがなくなったと感じるほどです」(40代、泌尿器科)など、体調の回復を示す声が散見されている。


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