■ポイント□
〇過去の学習内容と現実の差を認識
〇次の行動を即座に決定・実行可能
〇ロボット工学分野で世界最高峰学術誌に掲載
早稲田大学理工学術院の尾形哲也教授と日立製作所の研究グループは、ロボットの過去の学習内容と現実との差を認識し、次の行動をリアルタイムに決定・実行可能な、深層予測学習型のロボット制御技術を開発した。この研究成果は国際学術誌「Science Robotics」に掲載された。同誌は世界的な学術誌・サイエンスの姉妹誌で、昨年7月時点のインパクトファクタ(IF=23.748)はロボット工学分野で最高峰を誇る。
このロボット制御技術は、生体の脳の働きを解釈可能な自由エネルギー原理を参考に、過去の学習内容と現実の差が最小になるように次の動作を決定・実行可能な計算アルゴリズムを考案したもの。未学習の作業内容や環境に対してもロボットが次の作業を柔軟に実行することができる。さらにこの技術では、複数の予測モデルのうち、ロボットが状況に応じて予測モデルをリアルタイムに切り替えることで、急な作業内容や環境の変化にも柔軟に対応可能。
研究グループでは今後、状況が変わりやすくロボットの導入が困難であった作業現場にこの技術の適用を図ることにより、ロボットの適用範囲を拡大し、社会の労働力不足の解決を目指す。