■ポイント□
○未来の居住空間を実寸大で設置
○植栽エリア隣接し共生のあり方考える
○ここ数年話題の「薬剤耐性菌」のリスクも紹介
日本科学未来館(略称:未来館)が4月20日㈬に公開する新しい常設展示、ビジョナリーラボ第3期『セカイは微生物に満ちている』の詳細が、このほど発表された。未来の居住空間を実寸大で設けて植栽エリアを隣接させ、微生物と人間が豊かに共生する未来の暮らしについて共に考えるための工夫を凝らした。また、ここ数年話題となっている「衛生仮説」や「薬剤耐性菌」などに関わるリスクについても紹介する。
この展示では、まず微生物の基本的な情報やヒトにとっての微生物の重要性をひも解く。さらに、ヒトと微生物との共生による未来の快適な生活を、来館者とともに考えることを目指している。
展示空間は四つのチャプターに分かれている。チャプター1では、「微生物とは何か?」を顕微鏡写真や触って大きさを比べる展示などで解説し、さらにヒトの体のさまざまな部位にいる微生物についても触れている。
続くチャプター2では、微生物データを用いた大規模なメタ解析により都市部にあるいくつかの場所での微生物多様性のデータを比較し、違いを紹介する。また、衛生環境が免疫の発達に影響するという「衛生仮説」や、抗生物質が効かない「薬剤耐性菌」のリスクについても紹介する。
チャプター3 では、キッチンやリビングを模した実寸大のモデルルームに植栽エリアを隣接させ、居住空間内での微生物の存在を示すとともに、微生物の多様性を高めるアイデアや微生物との共生を可能にする生活のヒントを提示する。
最後のチャプター4では、今回のビジョナリー(監修者)である伊藤光平氏がめざす微生物と共生する理想的な都市のビジョンやそれがどのように形成されたのかを、イラストやアニメーション映像で示す。
この展示では、ビジョナリーのビジョンを深め来館者と共有するために、さまざまな領域の研究者やアーティストが「コラボレーター」として展示制作に参加している。ぬかの中にいる微生物の状態を教えてくれるぬか床ロボット「Nukabot」(Ferment Media Research制作)、微生物が色鮮やかな花を分解する様子を可視化するアート作品(Mikiko Kamada氏制作)、微生物多様性が実現されつつある未来都市をテーマにしたSF小説(青山新氏 作)など、ヒトと微生物とが共生する未来を豊かに想像させてくれる作品を展示する。