□ポイント■
○仏壇や位牌を通して考える〝死の向き合い方〟
○仏壇の祭祀の多様な歴史を深堀り
国立歴史民俗博物館では、第4展示室特集展示「亡き人と暮らす―位牌・仏壇・手元供養の歴史と民俗―」を3月15日から開催している。死のあり方が大きく変わる現在、故人との日常的接点であった仏壇や位牌などの歴史と民俗を通して、死の向き合い方を考える。会期は9月25日まで。
仏壇は、人々が日常的に故人と向かい合う場として大きな役割を果たしてきた。〝仏を拝むもの〟というイメージがあるが、なかには本尊仏がなく、位牌だけが安置されている仏壇もある。位牌はその家の先祖のものであり、むしろ仏壇と位牌が密接に結びついていったことで、仏壇があらゆる階層に浸透したと考えられる。つまり、先祖祭祀の場として仏壇が一般に普及したことが、特徴といえる。
仏壇に関しては、起源への関心が払われ、研究も進められてきた。しかし、仏壇祭祀で切り離すことのできない位牌などが、どのように祀られてきたのかといったことについて、地域的な多様性も含め、まだ十分に解明されていない点も多い。さらにここ数年、少子高齢化の進展や家族観の変容で、仏壇じまいや手元供養の出現など、大きな変容も生じている。
展示では、仏壇や仏牌、仏具などのさまざまな祭具に注目。仏壇祭祀の展開や地域的多様性、現代の変化など、家の中で行われる死者の祭祀の多様な歴史と民族について考える。
当たり前と思っていた仏壇の祭祀の多様な歴史を深堀りするもので、〝死の文化〟が変容する現在、死者祭祀の先端的な状況をつかむことたできる。さらに、明治期の写真付位牌など位牌の変遷、盆の造花の文化など、特徴ある位牌、仏具の展開を再発見する。