東京医科歯科大学血管内治療科は、くも膜下出血の手術中に起きる合併症である「血栓」を防ぐための臨床研究を実施するため、インターネットなどを介して多数の人々から寄附金を集めるクラウドファンディングで資金を募っている。クラファンサイトは「READFOR」を活用。5月30日午後11時までに、1000万円を集める。
手術でできる「血栓」の塊
東京医科歯科大血管内治療科は、脳梗塞やくも膜下出血などの脳の血管の病気に対し、頭を直接開ける手術ではなく、より患者の負担が少ないカテーテルを用いた血管内治療を専門に行っている。脳にある動脈瘤が破裂することで起こるくも膜下出血という病気に対しても、カテーテルを用いた血管内治療を積極的に取り組んでいる。
国内では1年に1万人以上がくも膜下出血により亡くなっている。また、患者の命を助けるための手術で血の塊「血栓」ができてしまい、後遺症が残る可能性があるなど、重要な合併症のリスクも考えられる。
破裂した脳動脈瘤のカテーテル治療がうまくいっても、手術中や術後に血栓ができてしまうことで血管が詰まり大きな脳梗塞につながることもある。こうしたことにより、患者が寝たきりになってしまうという不幸なできごとを今までに何度も経験しているという。
しかし血栓は、コントロールすることが難しく防ぎようのないトラブル。この血栓によるトラブルをできるだけ少なくすることが、カテーテル治療での大きな課題と考え、今回のプロジェクトでは、血栓によるトラブルを防ぐため、血液をサラサラにする「抗血小板剤(アスピリン)」をカテーテル手術の前に投与することで、くも膜下出血の患者さんの血栓によるトラブルをどこまで防ぐことができるかを科学的に調べる臨床研究にチャレンジする。