NTTコミュニケーションズ㈱(NTT Com)は、東京理科大学理工学部土木工学科水理研究室(二瓶泰雄教授、水理研)の協力のもと、水害ハイリスク地域の防災・減災の実現に向け、市民参加型の「デジタル防災訓練」を用いた実証実験を4月から来年3月まで実施する。国や自治体が指定する水害ハイリスク地域をデジタルツインで再現し、発災前後のシチュエーションを市民がアバターとして体験しながら自身の行動をシミュレートしてもらうことで、避難行動の可視化、防災意識の向上、安全に避難できる施策を検討する。さらに、デジタルツインの構築での技術課題の抽出を行う。
NTT Comはデジタル技術を活用し、あらゆる企業や社会・産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいる。また、産官学連携でCSVの実現によるわが国の社会課題解決を目指し、2020年に「日本版Smart Societyプロジェクト」を立ち上げた。
同プロジェクトでは現実世界をよりよくするために、オープンかつセキュアな「参加型デジタルツインシミュレーションプラットフォーム」の社会実装により、①顕在化していないニーズや行動パターンの可視化および意思決定・合意形成への活用、②共創パートナー(企業/行政など)による新たなサービス開発の促進―の実現を目指す。
プロジェクトの第一弾として、近年増加する気象災害をテーマに実証実験を行う。実証実験は、国が提供するオープンな都市空間データや独自のデータをもとに、行動の際に目印となる店舗や看板まで3D CGによってリアルに再現されたデジタルツイン上の街で実施する。市民がその街にアバターとして参加。水害が起きる前後の行動をシミュレートし、行動データの分析をNTT Comが行う。
こうした取組により、市民の避難行動および発災時のリスク箇所の可視化や、「デジタル防災訓練」参加前後の水害に対する防災意識・行動変容に関する情報の収集、安全に避難できる施策の検討を行う。河川の氾濫状況など実態に即した水害再現は水理研の助言のもと推進する。
また、「デジタル防災訓練」は期間内に複数回実施し、課題の抽出と改善を繰り返し行うことで精度の向上を図る。