浜松医科大学は、浜松市、㈱日立社会情報サービス、NanoSuit㈱、浜松医療センターの協力、㈱タウンズとの共同研究のもと、既存のイムノクロマトグラフィ(抗原検査)キットに対し新検査法を開発し、新型コロナウイルスの高感度化検証実験を実施した。
新型コロナ感染をはじめとして、多くの感染症で感染爆発時の社会的・経済的な負担は膨大なものになる。簡便かつ迅速性がある抗原定性検査は、世界的にも広く活用され、社会の大きな安心につながっている。しかし現行の抗原定性検査の感度は、PCRの感度に比べて劣るとされ、世界中でPCR検査が優先されてしまう傾向にある。
ところがPCR検査は、検査時間が長く、コストが高く、検査に要する技術者不足という問題とともに、遺伝子増幅による高感度化によって感染陽性判定と感染性の齟齬が生じるという懸念がある。社会の経済活動継続と感染抑制の両立を図ることのできる適切な検査法が求められている。
浜松医科大は、卓上SEMとナノスーツ法を組みあわせ、新型コロナウイルス患者検体と通常の市販イムノクロマトグラフィキットを検査資材として用いることで、PCRの問題を克服し、PCRに匹敵する高感度の結果を引き出せることを確証した。
この成果はスイスMDPI社の国際学術誌「Biomedicines」オンライン版に、2月15日に公表された。