国民生活に不可欠なサービスの多様化への対応や持続的な提供を確保するため、ブロードバンド基盤について制度面を中心に専門的・集中的な検討を行っている、総務省の研究会(座長:大橋博東京大学公共政策大学院院長)は4日、これまでの検討結果を最終取りまとめ案として取りまとめた。この中で、新たな交付金制度の目的として、①不採算地域におけるサービスの安定的な提供を確保、②有線ブロードバンド未整備地域の解消促進、③公設公営・公設民営から民説民営への転換促進を掲げた。その上で、交付金の支援対象となる区域を、一般支援対象区域と特別支援対象区域に分類することなどを提言している。
制度改正の基本的考え方としては、テレワーク・遠隔教育・遠隔医療などの安定的な利用を可能とするブロードバンドサービスを電気通信事業法上の基礎的電気通信役務(国民生活に不可欠であるためあまねく日本全国における提供が確保されるべき電気通信役務)の新たな類型として位置付けることなどを掲げた。
新たな交付金制度の在り方について、ブロードバンドサービスに係る新たな交付金制度は、電話に係るユニバーサルサービス交付金制度と同様、不採算地域におけるサービスの安定的な確保を確保することをその第一義的な目的とした。
その一方で、電話と異なる有線ブロードバンドサービスの特性(未整備エリアが一部存在、提供事業者が多様等)を踏まえ、「有線ブロードバンド未整備地域の解消促進」と「公設公営・公設民営から民説民営への転換促進」もその副次的な目的として設計することが適当としている。
新たな交付金制度については、交付金の支援対象となる区域を、一般支援対象区域と特別支援対象区域に分類する。
支援対象事業者は、一般支援対象区域や特別支援対象区域において、一者で有線ブロードバンドサービス(FTTH又はHFC方式のCATV)を提供している民間事業者とする。
支援対象設備・経費は、原則として、支援対象区域や特別支援対象区域のアクセス回線設備等の維持に通常必要な費用とし、設備の初期整備に要する費用は含まれないが、既存設備の更新に要した費用は減価償却費として含まれるものとすることが適当とした。
交付金の支援額の算定は、原則として、標準的なモデルに基づき費用を算出し、その費用の一定部分を支援対象とするベンチマーク方式を採用することが適当としている。
事業者に対する規律の在り方については、基礎的電気通信役務となる有線ブロードバンドサービスの適切、公平かつ安定的な提供を確保するため、有線ブロードバンドサービスを提供する事業者に対して、原則として、基礎的電気通信役務となる電話と同様の規律(契約約款の届出義務、役務提供義務、技術基準適合事義務等)を課すことを提言した。
ただし、有線ブロードバンドサービスと電話の利用状況や事業者間競争等の差異を踏まえ、有線ブロードバンドサービスに係る規律については、電話に係る動機率と比べて一部緩和・除外した上で適用するよう求めている。