2022年1月20日 【順天堂大】スマホアプリから収集した症状とまばたき我慢の時間からドライアイの症状を分類する手法を開発 ~ スマートフォンアプリ「ドライアイリズム®」を用いたビッグデータ解析 ~

順天堂大学大学院医学研究科 眼科学の村上 晶 教授、猪俣武範 准教授らの研究グループは、スマートフォンアプリケーション(スマホアプリ)「ドライアイリズム®」によるクラウド型大規模臨床研究によりドライアイの多様な症状を検証した結果、ドライアイの多様な症状を7つに層別化する手法の開発に成功した。さらに層別化された七つのクラスターに対し、生体情報(まばたき我慢の時間)を用いたデジタルフェノタイピング手法を開発した。この手法により、スマホアプリから収集したドライアイの症状に応じて層別化することで、個々人に対する早期のドライアイ予防および効果的な介入につながる可能性がある。

この研究はデジタルヘルス分野の医学雑誌npj digital medicineのオンライン版に掲載された。

ドライアイは国内で2000万人以上が罹患する最も多い眼疾患で、超高齢社会とウィズ・アフターコロナで助長されるデジタル社会で今後も増加が予想されている。また、ドライアイの症状は視覚の質や労働生産性の低下に繋がり経済的損失への影響になっている。

しかし、ドライアイに対する加療は未だ点眼による対症療法が主体で、完治する治療方法は存在せず、人生の長期にわたり生活の質の低下を起こす。このため、ドライアイの発症や重症化を未然に防ぐ、予防医療や個別化医療が重要となる。

ドライアイの自覚症状は、乾燥感のみならず、羞明(まぶしさ)、眼精疲労、視力低下等多岐にわたるため、不定愁訴とされて治療が行われないまま見逃される場合もあることが、これまでの村上教授らの研究グループにより明らかにされてきた。

また、ドライアイは多因子疾患であり、湿度・花粉・PM2.5等の環境因子、食事・喫煙・運動・コンタクトレンズの装用等の生活習慣、加齢・性別(女性)・遺伝・家族歴等の宿主因子等が、複合的に関連してドライアイの発症や経過に影響を及ぼすことがわかってきた。

このため、ドライアイ診療の質の向上には、一人ひとりのドライアイでの多様な自覚症状や関連する生活習慣情報を包括的に収集し、ドライアイの層別化による個々人に最適化された複合的なドライアイ対策の提案が必要。そこで、今回の研究ではドライアイの多様な症状の層別化によるデジタルフェノタイピング手法の開発を目的に、ドライアイ研究用スマホアプリで収集した大規模なクラウド型データを利用して検証した。


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