大阪市立大学大学院医学研究科循環器内科学の呉 裕介大学院生、岡井 主(つかさ)病院講師、泉家康宏准教授らの研究グループは、TAVI施術者に対する基本チェックリストによるフレイルの評価が経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)後3年の総死亡の予測因子として有用であることを明らかにした。
この研究成果により、基本チェックリストがフレイルを簡便かつ客観的に評価し、適切な治療方針の決定に役立つと期待できる。
これまで介護などで使われていた日本発「基本チェックリスト」は、25問の「はい/いいえ」で回答するアンケート形式のため非常に簡便。この基本チェックリストにより算出したフレイルの指標は、従来のフレイルの指標と比較し同等であり、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)後3年の死亡の独立した因子と判明。研究グループでは、リハビリや治療への介入、予後の予測や改善につながる可能性があるとしている。
フレイルの指標とTAVIとの関連性はこれまでに報告されているが、それらの指標は検査を多く要するものや、簡便であっても客観性に欠けるものがある。
今回、研究グループは、2016年1月から2020年12月に同大医学部附属病院でTAVIを施行した280例を対象とし、従来のフレイルの指標に加えて基本チェックリストによるフレイルの評価を行った。
その結果、基本チェックリストにより算出したフレイルの指標は、従来のフレイルの指標と比較し同等であり、生存時間分析でTAVI後3年の死亡の独立した因子であることが分かった。
また、基本チェックリストの総スコア(25点満点)で3群に分類して解析したところ、フレイル群(13~25点)でTAVI後3年の死亡が有意に高いことが分かった。
この研究は『Journal of Cardiology』の2月号(IF = 3.159)に掲載された。