日本学術振興会(JSPS)と国立情報学研究所(NII)は、人文学 ・社会科学分野のデータを検索するための人文学 ・社会科学総合データカタログ『JDCat』を公開した。
このJDCatは、JSPSが推進している人文学 ・社会科学データインフラストラクチャー構築推進事業(人社データインフラ事業)によるもので、NIIのオープンサイエンス基盤研究センター(RCOS)が開発したリポジトリソフトウェア「WEKO3」をもとに構築したもの。
このシステムを利用することで、人社データインフラ事業に参画している研究機関が提供する多様な人文学 ・社会科学分野のデータを分野横断的に検索したうえで、各機関のデータにアクセスすることが可能となる。
人文学・社会科学分野のデータは、人間の営みや社会事象を捉えた記録の一種であって、学術研究だけでなく、客観的な証拠に基づく政策立案をはじめとした、社会の様々な意思決定でも活用されている。これらのデータには、社会調査の個票データや公的統計の統計表、歴史資料のテキスト、画像データなどさまざまなものがある。
海外では、こうしたデータを公開し、広く社会と共有するための基盤の整備が積極的に進められている。
今回公開したJDCatは、JSPSが公募を通じて採択した五つの研究機関(大阪商業大JGSS研究センター、慶應義塾大経済学部附属経済研究所パネルデータ設計・解析センター、東京大社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センター、一橋大経済研究所、東京大史料編纂所)が提供しているデータを分野横断的に検索できるシステム。
ただし、今回の公開では、社会科学分野のデータを対象とし、今年10月頃には人文学分野のデータを追加する予定となっている。
JDCatで扱うデータを説明するための情報(メタデータ)は、社会科学分野の国際標準規格 Data Documentation Initiativeに準拠しており、日本語と英語で検索できるように設計している。
検索は、一般的なテキスト検索だけでなく、詳細検索とファセット検索も用意した。JSPSでは、人文学 ・社会科学分野のデータに関心のある幅広い利用者にとって、直感的で使いやすい検索環境になっている。同システムを経由して取得されるデータが、個人研究や共同研究、教育、政策立案といったさまざまな場で利活用されることを期待している。