2021年11月24日 【順天堂】高齢社会での地域に根差したコミュニティ活動の有効性を検証~国際基準で評価された「日本モデル」を世界に向けて発信~

順天堂大学健康総合科学先端研究機構のミョーニエンアング特任准教授、国際教養学部(グローバルヘルスサービス領域)の湯浅資之教授らの研究グループは、日本国内での高齢者コミュニティの調査を行い、世界保健機関(WHO)が研究課題として定める「コミュニティベースのソーシャルイノベーション(CBSI)」として報告した。CBSIはこれまでに世界の高中所得国14か国で報告されているが、日本での調査報告はこれまであまりなかった。今回の研究では高齢者のコミュニティ活動の運営方法や参加者への効果を定量的・定性的に分析したことで、日本のCBSIが、WHOが定める「健康的な高齢化」に貢献し、高齢者の生活の質の保持に貢献していることを示す構造モデルを提示した。この報告は、今後諸外国で各国の社会政策の策定に役立てられることが期待される。この研究成果はThe Gerontologist誌のオンライン版で先行公開された。

世界が注目、わが国の高齢者環境

わが国の高齢者(65歳以上)の割合は全体の28.7%を占め、世界で最も高くなっている。世界各国で高齢化が進むなか、超高齢社会であるわが国で、高齢者に配慮した環境や安全で活気のある生活を支えるための社会的資源がどのように整備されているのかは、各国からも注目されている。

わが国には以前から各地域に高齢者が参加できるコミュニティ活動が多数存在している。研究グループはこれらのコミュニティをCBSIとして位置づけ、介護予防運動などのグループ活動(CBSI1)と、読書や合唱、編み物などの趣味を行う社会・文化的活動(CBSI2)に分類。それらの運営形態と高齢者を取り巻く環境とCBSIと生活の質との関わりについて分析した。

孤独感減らし社会的つながり維持の機会を提供

調査によって、①日本のCBSIは公共のスペースという環境において参加者の自発的な参加や運営により維持されており、トレーナーなど指導的な立場をする人材をボランティアなどのコミュニティリソースでまかなっている、②CBSI 1(運動グループ)は、健康増進と社会参加のための集団行動の良い例で、孤独感を減らし、高齢の地域住民の間の社会的つながりを維持する機会を提供している―ことが明らかとなった。

また、③CBSI 2(社会・文化的活動)は趣味に基づいて価値観を共有する場として機能し、高齢者の自主性を高め、自分の興味に基づいた生活を楽しむ助けとなっていることもわかった。

 


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