東京商工リサーチが28日に公表したレポートによると、昨年に新設された介護サービス事業者の法人は3116社で、前年(3627社)から14.0%減少していた。今年の1月から6月は1483社で、昨年の同じ時期より12.3%少なかったという。先行きを楽観視しない傾向が強まったためとみられ、同社は「ビジネスとして有望な市場から一転、新規参入に二の足を踏む状況が浮き彫りになった」と分析している。
他の業種もあわせた全体の新設法人は昨年、12万4996社で4.5%の増加だった。介護分野の情勢は大きく異なっている。東京商工リサーチは要因を、「要介護者を抱える家族の生活費への圧迫や、人手不足と人件費の高騰、施設への投資負担、過当競争や介護報酬改定など、内憂外患の厳しい環境がある」と説明。倒産が増えている現状にも触れ、「円滑な事業運営や新規参入を促す細やかな政策支援が今こそ求められている」と指摘した。
■ 少額資本が目立つ
レポートでは、昨年の介護事業者の新設法人は89.9%が資本金1千万円未満だったと報告されている。「100万円以上500万円未満」が56.3%、「100万円未満」が22.5%、「500万円以上1000万円未満」が10.9%という内訳で、少額の資本金で船出したところが目立っている。
新設法人をサービスごとにみると、最も多いのは全体の82.5%を占めている「訪問介護」。以下、「通所・短期入所介護」が10.1%、「有料老人ホーム」が3.4%と続いている。
地区別の新設法人数では、北海道から九州までの9地区すべてで前年を下回っていた。四国がマイナス29.2%、東北がマイナス27.5%とそれぞれ3割近く減少。関東(18.1%)や中国(15.2%)、北陸(14.8%)の減り幅も大きかった。都道府県ごとにみると、減少が35都道府県、増加が10県、同数が2県。436社で最も多かった大阪も、前年より11.0%少なくなっていた。