2021年10月26日 景気は持ち直しの動き弱まる 基調判断は据え置き 10月の月例経済報告

内閣府がまとめた10月の月例経済報告によると、公共投資は高水準にあるものの、このところ弱含んでおり、輸出は増勢が鈍化していることなどから、「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、このところそのテンポが弱まっている」と基調判断を据え置いた。先行きについては、「感染対策を徹底し、ワクチン接種を促進するなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、サプライチェーンを通じた影響による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある。また、国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。」としている。

日本経済の動向についてみると、個人消費では、需要側統計(「家計調査」等)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、前月比2.0減となった。個別の指標について最近の動きをみると、「家計調査」では、実質消費支出は同3.9%減となっている。販売側の統計をみると、「商業動態統計」では、小売業販売額は同4.1%減となった。

設備投資は持ち直しており、業務側統計である「法人企業統計季報」(4~6月期調査、含むソフトウェア)でみると、2021年4~6月期は前期比3.2%増となった。業種別にみると、製造業は同3.9%増、非製造業は同2.8%増となっている。

機械設備投資の供給側統計である資本財総供給(国内向け出荷及び輸入)は、増加している。ソフトウェア投資は、緩やかに増加している。

公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んでいる。7月の公共工事出来高は前月比1.1%増、9月の公共工事請負金額は同6.9%減、8月の公共工事受注額は同6.7%減となった。

輸出は、増勢が鈍化している。地域別にみると、アジア及びEU向けの輸出は、おおむね横ばい、アジア向けの輸出は持ち直しの動きがみられ、その他地域向けの輸出は、このところ弱含んでいる。

輸入は、このところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。地域別にみると、アジア及びアメリカからの輸入は、このところ持ち直しの動きに足踏みがみられ、EUからの輸入は、持ち直しの動きがみられる。

鉱工業生産は、このところ一部に弱さがみられるものの、持ち直している。鉱工業生産指数は、前月比3.2%減となった。鉱工業在庫指数は、同0.3%減となっている。

企業収益は、感染症の影響により、非製造業の一部に弱さが残るものの、持ち直している。「法人企業統計季報」(4~6月期調査)によると、2021年4~6月期の経常利益は、前年比93.9%増、前期比1.8%増となった。

雇用情勢では、完全失業率は、8月は前月と同水準の2.8%となった。労働力人口及び就業者数は減少し、完全失業者数は増加した。

雇用者数は横ばい圏内となっている。新規求人数及び有効求人倍率は横ばい圏内となっている。

賃金をみると、定期給与及び現金給与総額は持ち直している。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.