北海道大学ユニットセンターの研究チームは、エコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)の約10万組の母子データを用いて、妊婦の重金属ばく露と生まれた子どもの先天性腹部形態異常との関連を調査した。その結果、妊婦の検出された貴金属ばく露濃度では、生まれた子どもの先天性腹部形態異常の発生には影響しないことが明らかとなった。この研究成果は、妊婦や妊娠を予定している女性に関して、胎児の器官形成を妨げない重金属のばく露濃度がより明確になることが期待される。
今回調査データを用いたエコチル調査は、2010年度から全国で約10万組の親子を対象として環境省が開始した大規模かつ長期にわたる出生コホート(継続)調査。母体血や臍帯血、母乳などの生体試料を採取保存・分析するとともに、追跡調査を行い、子どもの健康に影響を与える環境要因を明らかにすることとしている。
国立環境研究所に研究の中心機関としてコアセンターを、国立成育医療研究センターに医学的支援のためのメディカルサポートセンターを設置。また、国内各地域で調査を行うために公募で選定された北大など15の大学等に地域の調査拠点となるユニットセンターを設置し、環境省とともに各関係機関が協働して実施している。