東京大学地震研究所の岩森光教授ら研究グループは、地震・火山活動や地球全体の進化に重要な役割を担う「地球内部の液体(水やマグマ)」が、どこにどれだけ存在するかをとらえる解析方法を開発した。地球内部の地震波伝播速度と電気伝導度を統合解析し、岩石と液体の種類、量比、分布形状を、地殻-最上部マントルの広範囲で推定できるようになった。地震や火山活動の主な場である深さ60㎞程度までの「岩質-液体の分布」が解析可能となり、今後、地震・火山活動を含む変動現象の機構の理解が進むと期待される。
地球内部の液体(水やマグマ)は、流動しやすいために物質やエネルギーを速く輸送し、また周囲の固体物質と化学反応を起こして大きな物性変化をもたらす。このため、地震・火山活動や地球全体の進化に重要な役割を担うと考えられているにもかかわらず、どこにどれだけ存在するかをイメージングすることが難しい。
特に、地震や火山活動の主な場である深さ60㎞程度までの領域は、岩石の種類が多様であり、従来の主要なイメージング手法である地震波の伝わり方の解析のみからでは、岩石や液体の種類・有無を検証することが難しい。
東大地震研の岩森教授らは、地球内部の地震波伝播速度と電気伝導度を統合解析することにより、岩石と液体の種類、量比、分布形状を推定する手法を開発した。この手法を用いることにより、地殻とマントル最上部の構造イメージングが大きく進み、災害要因としての地震・火山活動のしくみの理解に貢献することが期待される。