横浜市立大学医学群精神医学教室は、県内の中学校・高校の教員を対象に子どもの自殺予防を目的とした「神奈川県学校自殺対策支援プロジェクト(ReSPE-K)」を開始した。
ここ数年、新型コロナウイルス感染症の蔓延によりメンタルヘルスの問題を抱える子どもが増加しており、特に夏休み明けが子どもの自殺が最も増加する時期と言われているが、一方で学校教員の自殺予防に関する知識と経験は十分とはいえないのが現状。このような課題を抱えるなかで、学校で過ごす生徒たちの自殺リスクを学校教員と共に軽減することを目的に、このプロジェクトを立ち上げた。
プロジェクトでは、子どもの自殺予防の実践のために、学校教員の自殺に関する知識定着と偏見の解消を狙った教育プログラムを実施する。
中学校・高校の教員に対し2年に3回、各回60分の児童・青年期の自傷・自殺に関するオンライン講座を実施する。講義内容は
「精神医療編」:自殺と関係する脳と心の状態や精神疾患の治療と予後について
「心理支援編」:自殺を考える子どもの心理的背景と実際の対応について
「社会支援編」:自殺総合対策大綱に基づく学校で出来る自殺予防について
の3件。
このプロジェクトは、2020年度科学研究費助成事業 研究活動スタート支援による「自殺予防のための学校教員を対象とした精神保健教育の効果に関する研究(研究責任者:宮崎秀仁)として実施する。プロジェクトによる学校教員の自殺に関する偏見を減らすことへの効果を測定するために、知識提供前後にアンケートを行い調査する。
現在、すでに初回講義を開始しているが、同大では随時県内の中学校・高校で参加校を募集している。