2021年9月15日 【東北大】のどに刺さる魚の骨、全身麻酔での手術も

煮魚や焼き魚などを食べたとき、気を付けなくてはならないのは、魚の骨を誤飲し、喉や食道に骨が刺さること。この疾患を「魚骨異物」と呼ぶが、東北大学医学系研究科の香取幸夫教授らのグループが行った調査によると、魚骨異物は4歳以下の幼児に多いことがわかった。また、カレイ・ヒラメの骨は下咽頭や食道に刺さることが多く、内視鏡下摘出術や全身麻酔下での手術が必要となることも多いことが明らかとなった。

4歳までが25.9%

魚骨異物は魚消費量が多い国で一般的な疾患で、特に、アジアでは咽頭・食道に刺さった・詰まった異物の約50‐90%を占めるとされる。ありふれた疾患である一方、詳しい調査はあまり行われておらず、魚の種類によって骨の刺さり方や頻度が変わるかどうか明らかにされてこなかった。

東北大病院で2015年10月から2020年5月までの期間に魚骨異物の疑いで受診した患者は368例。香取教授らは、このうち医師が異物を確認した270例(74.3%)を調査対象にした。

患者さんの年齢は乳幼児が最も多く、0~4歳が全体の25.9%を占めていた。骨が刺さっていた部分は口蓋垂(いわゆる「のどちんこ」)から舌根(舌の付け根の部分)にかけての中咽頭領域が87.4%と大多数を占め、特に口蓋扁桃(いわゆる「扁桃腺」)に刺さっている症例が多いという結果となった。

魚の種類はウナギの仲間(ウナギ34例・アナゴ3例・ハモ2例)が14.4%と最も多く、次いでサバ12.2%(33例)、サーモン12.2%(33例)、アジ11.1%(30例)、カレイの仲間11.1%(カレイ28例、ヒラメ2例)。ウナギを除いては家庭での生鮮魚介消費量の多い魚が主な原因となっていた。

魚骨異物を確認した270例のうち、12.2%(30例)で、診察中に骨が自然に脱落したが、残りの240例で摘出術が行われた。54.6%(131例)が口腔から直接摘出、42.9%(103例)が内視鏡下での摘出手術、2.5%(6例)が全身麻酔下の手術。12歳以下の小児例は139例で、中咽頭領域に骨が刺さっていた症例が99.3%(138例)を占め、内視鏡下摘出術を要した症例は22.3%(31例)となった。さまざまな魚の種類の中で、カレイ・ヒラメの骨は、下咽頭や食道に骨が刺さる頻度が高く(30%)、自然に脱落することが少なく(9.1%)、内視鏡下摘出術や全身麻酔下での手術が必要になる症例が多い(65.5%)ことがわかった。


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