2021年9月2日 【東北大】誤嚥性肺炎、80歳代で高い割合 県内8病院で大規模調査

肺炎は2011年以降日本の主要な死亡原因の第3位を占めている。肺炎によって死亡する患者の9割以上は高齢者で、高齢者の肺炎の約8割は誤嚥性肺炎とされている。このため、日本社会の高齢化と共に高齢者の誤嚥性肺炎は今後も増加が予想され、実態把握と対処が課題となっている。

こうした状況を踏まえて、東北大学大学院医学系研究科の耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野、香取幸夫教授、鈴木淳講師、池田怜吉講師の研究グループは、国内での誤嚥性肺炎の特徴や検査と治療の現状を把握するために、宮城県の基幹病院における肺炎患者の大規模多施設調査を行った。

2019年に宮城県内の八つの病院で入院治療を受けた肺炎患者1800名を調査した結果、誤嚥性肺炎の割合は38.4%で、高齢者、特に80歳以上で高い割合を示した。患者数は80歳代が最も多く、2008年の報告での70歳から高くなっていた。高齢化に伴い、この10年で年齢のピークがずれたものと考えられた。

また、誤嚥性肺炎の症例の特徴として、肥満度の指標となるBMI値が低い入院時では、細菌などの感染による炎症の指標となるCRP(C反応性タンパク質)値が低い、脳血管障害、認知症、神経疾患の併存が多い、病院・介護施設に入院・入所している症例が多いといった項目が挙げられた。

2週間以上入院した誤嚥性肺炎患者に対する嚥下機能を改善する治療(嚥下介入)は51%施行されており、嚥下内視鏡検査は嚥下介入患者の20%に、嚥下透視検査は5%に施行されていた。


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