2021年8月27日 【東北大災害科学国際研】歴史資料活用して1804年象潟地震の実態解明

地震観測が行われていなかった過去に起きた地震(歴史地震)については、歴史資料を利用することで多くの情報が得られる。1804年7月10日に発生した象潟地震は、現在の秋田県本荘から山形県酒田にかけて甚大な被害をもたらした。東北大学災害科学国際研究所の蝦名裕一准教授ら研究チームは、秋田県にかほ市象潟町関の地域コミュニティの協力を得て、江戸時代の行政文書『関村伝来文書』を、歴史学・津波工学の連携で新たに読み解き、関(当時は由利郡関村)における象潟地震の詳細な被害状況と復興状況を明らかにした。

文理連携の多角的研究で歴史地震の諸相解明

同文書を分析した結果、関村では、「潰家」45軒、「大痛」15軒、「中痛」6軒、死者8名、死馬3頭で、従来考えられていた震度より大きい可能性があることがわかった。また、関村集落部への津波の浸水はなかったとみられる。地震により恒久的に耕作不能となった場所があったことも示唆され、象潟地震の被害の甚大さがあらためて確認された。

今後も、日本の地域社会に残る歴史資料の研究を、文理連携により多角的に研究することで、さらに歴史地震の諸相が明らかになることが期待される。

この研究成果は、7月30日に「歴史地震」誌に掲載された。

 


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