東京工業大学理学院火山流体研究センターの寺田暁彦講師らは、京大、東北大、北大、気象庁気象研究所と共同で、「2018年本白根噴火」を引き起こした〝火山地下〟の割れ目を発見した。この割れ目は、過去にも繰り返し開閉しており、水蒸気噴火の原因となってきたと考えられる。寺田講師らは、今後の防災対策として、噴火を引き起こす水蒸気の源が存在する深さ2㎞前後のモニタリングと、このほかに潜在する割れ目の発見の重要性を強調している。
この発見をしたのは、同センターの寺田講師と、神田径准教授、小川康雄教授ら。群馬県西北部に位置する草津白根火山の本白根山の地下に、地表へ熱水を運び、水蒸気噴火を引き起こす原因となる割れ目を発見した。
寺田講師らは、本白根山で2018年1月に発生した水蒸気噴火の発生時に、東工大草津白根崋山観測所が測定したデータなどを解析した。本白根山噴火口直下の深さ約1㎞前後を中心とする位置に、ほぼ直立した割れ目があることを確認。地下2㎞前後に存在する熱水貯留域の熱水と地表をつなぐこの割れ目が急に開閉したことで、噴火が発生したという結論に至った。
さらに、過去にもこの割れ目が開閉していたことも併せて確認され、本白根山の水蒸気噴火や噴火未遂の原因となってきたと考えられると指摘。
研究グループでは、今後の防災、火山活動評価にあたっては、噴火を駆動する熱水が存在する地下2㎞前後の領域のモニタリングと、ほかにも未確認の割れ目が潜在していないかを調べることが重要となるとしている。
この研究成果は、地球惑星科学分野の国際学術誌「アース・プラネッツ・アンド・スペース」に7月30日にオンライン掲載された。