ANAグループのavatarinと国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、新たな発想の宇宙関連事業の創出を目指す「JAXA 宇宙イノベーションパートナーシップ(J‐SPARC)」の枠組みのもと、京大学大学院工学系研究科の協力を得て、今年7月から「アバター技術(人の意識・技能・存在感を伝送させる遠隔操作技術)を利用した宇宙関連事業」の共創活動を開始した。
avatarin㈱とJAXAは、「アバター技術を利用した宇宙関連事業」を目指した事業コンセプト共創活動(2018年9月~2020年12月)の一環として、昨年11月に国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」に設置された「space avatar」を国民がJAXAなどの限られた施設からではなく、街なかから操作するという技術実証に世界で初めて成功した。
今回の共創活動では、この技術実証成果を踏まえ、①遠隔宇宙旅行事業、②遠隔宇宙飛行士作業支援事業、③宇宙関連遠隔体験事業―の三つの事業分野について検討・開発・実証を行う。
このうち、遠隔宇宙旅行事業は、急速に進む宇宙の民間化を背景に期待される宇宙旅行時代を見据え、「SPACE FOR ALL~全ての人が宇宙行ける時代」を実現するため、アバター技術を活用し、地球からISSや宇宙空間にある遠隔コミュニケーション型space avatarにアクセスすることで、自身が宇宙に遠隔移動できる宇宙体験サービス。本サービスの実現に向けて、ISS内を地上からの遠隔操作で移動可能とspace avatarの開発を目指す。
遠隔作業支援サービス事業は、ISSや将来的に月面等で想定される宇宙飛行士作業をアバター技術を活用して支援することで、作業の効率化や代替化を目指したサービスの検討を行う。今回の検討では、アバター技術によるコミュニケーション円滑化による支援を行う遠隔コミュニケーション型と、ヒューマンスキルの機械学習等を用いた高性能ハンド型の 2種類のspace avatarの開発を目指す。
遠隔宇宙体験事業では、avatarin㈱が独自開発したアバター「newme」を用いてJAXA関連施設を遠隔見学することで、宇宙を身近に感じ宇宙開発を学習できる体験を提供。同事業により、実際にその場に行くことが困難な状況でも、体験機会を提供することが可能となる。
これまでアクセスできなかった人も含め、より多くの人々に見学の機会提供をすることを目指し、種子島宇宙センター宇宙科学技術館で「newme」を活用した遠隔見学の実証を行う。