賛否両論あるなか、東京オリンピックが7月22日にいよいよオープニングを迎えるが、公益財団法人アイヌ民族文化財団などでは、マラソンと競歩競技が期間中の8月5日から8日に札幌市で実施されることから、さっぽろテレビ塔前の広場でアイヌ舞踊を行うことを決めた。人が集まることを避けるため、外から見えないよう設置した会場で無観客により行う。
披露するのはアイヌ舞踊『ウポポ ヤン リムセ ヤン(唄いましょう。踊りましょう。)』。〝世界が心を一つにすることで、現代のさまざまな課題を解決していきましょう〟とするアイヌの願いと取組のコンセプトである『パラル〈大きな道〉:ひとつになる道』を体現する舞踊プログラム。
この舞踊には、アイヌ民族が大切にしてきた礼節があり、神羅万象ヲ慈しむ心があり、世界とつながり共生を目指す姿勢がある。これはSDGsの考え方を太古の昔からアイヌ民族が体現してきたことを示すもの。
〝この世の中に、意味のない存在なんてひとつもない。ともに尊重し合うことで、優しく穏やかな世界へ向かいましょう〟。アイヌ民族からのこのメッセージが世界に届くことを願って、唄い、踊るものであり、北海道各地の伝統的なアイヌの15の踊りを、幼子も含む老若男女が踊る。
全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とするアイヌ施策推進法や多様性を重視するオリンピックの精神、今大会の「大会ビジョン」にも沿ったものといえる。