人流増減と気象データで新型コロナウイルス新規感染者数を予測―。名古屋工業大学の研究グループは、新型コロナウイルス感染拡大・収束について、昨年3月から今年6月末までの都府県ごとの移動データと気象データを学習することにより、新規感染者数の予測を行った。
AI関連技術の深層学習(ディープラーニング)のうち、時系列データの取り扱いに強みを持つLSTMと呼ばれる回帰型ニューラルネットワークを適用。人流の減少幅と気象の時系列データなどを入力し、以降1ヵ月にわたる一日ごとの新規感染者数を学習し、予測に応用した。
80%の精度で予測可能に
東京、愛知、大阪、兵庫、京都、福岡を対象とし、データを規格化することにより、変異株の影響が大きくない状況であれば、約80%の精度で予測可能となった。また、アルファ変異型出現後のデータより、新規変異株に十分な予測精度を持たせるためには、約4週間のデータ蓄積が必要であることも明らかとなった。
このような場合には、潜在期間を含めた過去1年間の人流増減率の統計値により、実効再生産数を概算。目安となる人流増減率も産出可能となっている。
6月30日現在までのデータから、人流変化が同じ条件下では、アルファ株、デルタ株の実効再生産数は、従来に比べて、それぞれ20~30%、20~40%大きいことがわかった。