岡山大学病院と医療機器メーカーの㈱三幸製作所(さいたま市西区)は、たんや唾液等の分泌物を吸い取るリユースタイプの吸引器に、独自のディスポーザブル(使い捨て)バッグを装着して使用する新製品を開発し、今年3月から販売している。
これまでの海外製使い捨てバッグに代わって、ディスポーザブルバッグを開発するのにあたり、岡山大病院と三幸製作所は共同研究契約を締結。医療従事者等へのヒアリングを行って製品を開発した。
使い捨てバッグを使用することにより、医療従事者らが行うリユースタイプでの分泌物の廃棄、キャニスター等の消毒や滅菌等の煩雑な作業負担を軽減させるばかりでなく、コロナ禍でのキャニスター洗浄時の感染リスク低減や感染予防、さらに災害時の断水等、防災や危機管理の観点からも有効といえる。
さらに、在宅介護や介護施設でのニーズにも応え、持ち運びが可能な電動吸引器のディスポーザブルタイプも同時発売した。
煩雑で感染リスク高い吸引器作業
吸引器は、患者のたんや唾液、鼻水などの分泌物を、モーター等で吸引して取り除く医療機器。分泌物を取り除くことで呼吸を楽にするが、取り除かなければ感染症のリスクが高まり、肺炎などを引き起こす。
医療機関では壁掛吸引器が使用され、家庭では電動式吸引器が使用されることが多い。吸引されたたんや唾液、鼻水等の分泌物は、吸引器のキャニスターに溜まり、定期的に廃棄するが、リユースタイプのキャニスターでは、洗浄、消毒、滅菌して再使用する。
これらの作業は医療従事者、介護者にとってかなり煩雑な作業になる。また感染予防の観点からも、作業時の感染リスクが高くなる。さらに、災害時の断水等によってリユースタイプが使用できなくなるなど、防災や危機管理の観点からも改善が望まれていた。また、吸引部配管のキャニスターへの誤接続によって、吸引部の壁配管への浸入が生じることがあった。