北海道大学遺伝子病制御研究所癌生物分野の野口昌幸名誉教授らの研究グループは、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの共感染を予防するためには、マスクが重要な役割を果たすとの提言を行った。
2020年の秋ころ、新型コロナウイルスとインフルエンザは初期症状が似ていることから、その鑑別だけでなく、重篤な共感染による社会への影響が大変危惧されていた。しかし実際には、国内では2020/2021年冬のインフルエンザ罹患数は劇的に減少し、懸念されていた新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの共感染もごく少数の発症だった。
インフル罹患者、例年の2千分の1に
研究グループは、厚労省と国立感染研究所の発表するわが国インフルエンザワクチン接種とインフルエンザ罹患数に関する統計データを解析した。その結果、2020/2021年シーズンで、インフルエンザワクチンの接種数はここ10年来ほとんど変わっていないにもかかわらず、インフルエンザ罹患数は例年の2000分の1に減った。この主たる要因として、日本人の生活スタイルに古くから取り込まれているマスクの着用が大きく貢献していると考え、報告した。
新型コロナとインフルエンザの共感染を予防するためにも、ワクチン接種に加えて、わが国古くからの習慣であるマスク着用という公衆衛生の基本を心がけることの重要性をあらためて示している。
この研究成果は、7月1日公開のEuropean Journal of Internal Medicine誌にオンライン掲載された。