東京大学大学院工学研究科とクラーク記念国際高等学校(北海道深川市、三浦雄一郎校長、以下クラーク国際)、Space BD㈱(東京都中央区)は、クラーク国際開校30周年の記念事業の一環として、高校生による人工衛星開発・打上げ、及び宇宙をテーマにした探究学習プログラムの開発により未来のリーダー人材育成を目指す「宇宙教育プロジェクト」を開始する。プロジェクトアンバサダーとして宇宙飛行士の山崎直子氏が就任する。
同プロジェクトは、東大大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻の中須賀真一教授による指導、Space BD支援を得て、高校生による人工衛星開発・打上げを実現するクラーク国際独自のカリキュラムを通じて、未来の社会で活躍するリーダーの育成を目指する。
「宇宙教育プロジェクト」は、生徒主体の衛星開発・運用、ミッション実行をベースに高校生が宇宙に関心を持ち、宇宙視点でさまざまな課題解決を考え実行できる未来のリーダー人材育成を目指した教育プログラムの開発を目的とした事業。
衛星開発・運用を通じ、宇宙開発への興味関心と課題解決の達成に向けた生徒たちの主体性を育てるとともに、未来の社会で活躍する人材として不可欠な非認知能力を伸ばす。具体的には、①日本初の高校生による衛星「クラーク衛星1号機(仮)」の開発、②宇宙をテーマにした独自の探究学習プログラム「宇宙探究学(仮)」の開発・実施―の二つの事業を展開する。
「クラーク衛星1号機(仮)」の開発
2022年度に予定している1回目の打上げでは、ステップ1として、高校生による衛星「クラーク衛星1号機(仮)」の開発と軌道上での運用を目指す。東大の中須賀教授による指導と、Space BDによる支援の下、高校生が主体となった人工衛星の開発、地上での各種環境試験、官辺申請、打上げ後の軌道上の衛星の運用までを実施。人工衛星を活用したミッション策定から衛星開発、打上げ後の運用まで生徒たちが関わり、宇宙への興味の扉を開くと供に、地球のリーダーとして様々な課題解決に向けて考え行動できる人材を育成する。
衛星は10㌢角の〝1Uサイズ〟と呼ばれるキューブサットになる予定で、クラーク国際開校30周年にあたる、2022年度の打上げを目指す。
また、在籍する1~3年生を対象とした部活動「宇宙探究部」を創設し、「衛星開発チーム」と、宇宙開発の魅力を社会に伝える「国際広報チーム」、人工衛星の運用を行う「宇宙ミッション実行チーム」に分かれ、生徒の宇宙への興味関心を深める。
「宇宙探究学(仮)」の開発・実施
東大の学術指導制度により、中須賀教授から宇宙を題材にして行う探究学習に関するアドバイスを受け、独自の探究学習プログラム(宇宙をテーマにした「宇宙探究学(仮)」)を構築。全生徒へ向けて授業実施を行う。
宇宙探究学は今年7月、本格的に活動を開始。部員は全国のクラーク記念国際高校に在籍する生徒より公募し、最大100名程度を予定しています。
活動開始に先駆け、6月25日には宇宙開発の概論に関する生徒の理解促進を目的とした、中須賀教授による宇宙開発講義を開催した。今後は、衛星ミッションの検討から入り、衛星組み立て作業や衛星環境試験、管制局の組み立て作業への一部参加、また無線局落成検査や安全審査会の立ち合いなどを経て衛星打上げを目指す。衛星開発関連以外では、衛星打上げおよび衛星放出の際の取材やホームページの制作についても生徒の活動対象となる。