文化庁では、全国の博物館等を巡回して行う『発掘された日本列島2021』展示を今年も開催する。6月5日に開幕した東京都江戸東京博物館(7月4日まで)を皮切りに、北海道の苫小牧市美術博物館(7月31日~9月12日)、群馬県立歴史博物館(10月9日~11月21日)と、3会場で実施される。631点の遺跡などが出品されている。
全国で毎年約9000件の発掘調査が実施されているが、国民が発掘成果に実際に触れる機会は極めて限られている。こうした現状を踏まえて、文化庁では平成7年度から近年発掘調査が行われたなかで特に注目された出土品を中心とした展示を構成し、巡回展を行っている。国民が埋蔵文化財に親しみ、保護の重要性に関する理解を深めることを目的とするもの。
中国地域最大勢力・大内氏の山口市をピックアップ
7回目となる今回の日本列島展では、新企画「我がまちが誇る遺跡」が実施される。継続的な発掘調査の成果に基づく地域研究によって明らかになった全国の地方公共団体の企画提案型による〝地域の個性的な歴史〟や〝魅力的な遺跡〟を紹介する。
今回は、縄文時代の遺跡が密集する東京湾沿岸地域のなかでも、縄文時代を通じて貝塚が数多く密集する千葉県市原市、瀬戸内海の海流の分かれ目で、古くから瀬戸内の海上交通の要衝であった広島県福山市、さらに戦国大名・毛利氏以前に中国地域で最大の勢力を誇った大内氏の本拠地である山口市を取り上げる。
また、令和元年に記念物を保護する制度である史蹟名勝天然記念物保護法が施行100年の節目を迎えたことから、「次の100年に向けて」と題して、指定された記念物を紹介するとともに、将来の向けた保護のあり方を考える。