萩生田光一文部科学大臣は6月11日閣議後会見で、大学でのワクチン接種に関して、全国32大学から医師や会場提供の協力申請があったことを明らかにした。また、21日の週から接種を行う広島大学と弘前大学の事例を挙げ、一般企業での「職域接種」とは異なり、地域住民や近隣他大学関係者への接種も視野に入れるという大学でのワクチン接種の意義を十分反映したものと、高く評価した。
萩生田大臣は、「大学は地域の核として、地域貢献をする接種会場となってもらうことを前提に許可することとしているので、自分のところ職員・学生だけを打つんだという、企業が行っている「職域」とはやや概念が違う」と、大学でのワクチン接種に関する報道が本来の趣旨と若干異なって行われていることへの違和感を表明。
そのうえで、6月8日から申請受付が開始された大学でのワクチン接種に関して、現在、文科省に対して97大学から相談が来ており、このうち32大学がすでに接種の申請を行ったとした。
申請大学は、医療系人材と施設をセットで提供が可能なパターンと、大学の施設の提供が可能なパターンの2ケースで、文科省としてはまずはモデルケースを構築すべく各大学と調整をしているという。
また、広島大学と弘前大で21日の週から、自大学の学生・教職員の接種を行う方向で準備を進めているが、広島大では、東広島市内の企業などの職員に、弘前大は自大学の学生・教職員のほか、弘前市内の柴田学園大、弘前学園大、弘前医療福祉大の学生・教職員、また、放送大学の教職員に接種を実施することとしていることを、高く評価。「350を超える大学から協力の申し出があったが、全てが会場になるとはちょっと考えにくいので、会場となった大学は、同じ自治体に立地をするほかの大学で進んでいないところと一緒に協力して呼び掛けてあげてくださいという、いい例を広島大と弘前大は示している」と評価した。
また、海外留学を後押しするために、留学先の大学からワクチン接種を義務付けられている場合、接種を受けられるように準備を進めていることも説明。「文科省としては、引き続き、このような大学等を支援するとともに、各大学が自大学のみならず、近隣の教育関係者に接種を行う拠点となるよう、各大学と一体となって取組を進めてまいりたい」と述べた。